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法律コラム

中小企業のM&AにおけるFA契約時に、弁護士がみる5つのポイント
【中小経営者のためのM&A・事業承継講座 vol.10】
弁護士の藤間です。
日々、中小企業さまの事業承継・M&Aに関する法的アドバイスなどをする中で、中小企業の経営者さまに事前に知っておいてほしいM&A・事業継承の基礎知識をシリーズでお伝えします。
前回記事でもお伝えしましたが、事業承継や中小企業のM&Aにおいて、近年「ファイナンシャル・アドバイザー(以下、FA)」という存在が急速に注目を集めています。
中小企業の経営者がM&Aに臨む際、FAやM&A仲介会社の関与は避けて通れません。
しかし、朝日新聞によると、不適切な仲介が報道された事件もあります。
日本M&AセンターHD社長「不適切だった」資金目当てのM&A仲介
今回は、中小企業がFAと契約する前に、トラブルを避けるために、弁護士を活用するポイントについて解説します。
FA契約の際の、トラブルとは
2025年6月の日本経済新聞では、中小企業庁の検討会において、2026年度を目途に仲介業務に関する資格制度を導入する方針が報じられました。
中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化
資格制度導入の背景には、FAや仲介業者による情報管理の不備、利益相反構造の問題、契約条件に関する認識違いなど、多岐にわたるトラブルが存在しています。
特に、売手側企業が期待していた譲渡価格を大きく下回る提示を受け、それがFAの恣意的な交渉姿勢や買手との関係性に起因していた事例などが後を絶ちません。
弁護士がFA契約をサポートする5つのポイント
こうした現状を踏まえ、弁護士としては、以下の観点からFA契約の事前チェックを行い、必要に応じて修正・交渉をサポートすることが可能です。
1. 利益相反の排除条項
FAが買手側とも契約関係を有する場合、売手の利益が損なわれる可能性があります。契約書には明示的に排除条項を盛り込む必要があります。
2. 成功報酬の定義
いわゆる「LOI段階での成功」扱いとされる契約が散見されますが、実際のクロージングに至らなければ報酬支払義務を免れるべきです。
3. クーリングオフ及び途中解約条項
業務に瑕疵があった場合、あるいは信頼関係が破綻した場合に備え、一定のクーリングオフ制度および無条件解約条項の整備が必要です。
4. 情報管理義務
売手企業の秘密情報が他者に漏洩するリスクを最小限に抑えるべく、情報提供の範囲と目的を明確にし、FAに厳格な管理義務を課すべきです。
5. 業務範囲の明確化
FAが何をどこまで実施するのか、どこから先は弁護士や税理士に委ねるのか、明示的に業務範囲を記載すべきです。
実際にあったFAによるトラブル事例
実際にあった事例では、FAが同一資本系列の買手候補者に対して売手情報を二重提供していたことが後に判明し、売手側が著しく不利な条件で契約を締結せざるを得なくなったというものがあります。
このようなトラブルを防ぐためには、契約段階での精査が不可欠であり、弁護士の関与が実効性を発揮します。
FA契約を戦略的に修正し、経営者を法的にサポート
また、今後制度化される資格制度では、倫理規範や利益相反管理に関する義務の明文化が想定されており、これを契約書上にも反映させておくことが、今後の企業防衛の観点からも有効です。
弁護士は、契約実務におけるリスク評価と予防法務の観点から、FA契約を戦略的にレビュー・修正し、経営者の意思決定を法的にサポートいたします。
FAとの契約締結にあたって不安がある場合は、事前に弁護士に相談し、適切な条件整備を行うことが、結果として円滑なM&A実現につながります。
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