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法律コラム

弁護士の藤間です。
日々、中小企業さまの事業承継・M&Aに関する法的アドバイスなどをする中で、中小企業の経営者さまに事前に知っておいてほしいM&A・事業継承の基礎知識をシリーズでお伝えします。
前回記事でもお伝えしましたが、最新ニュースとして、日本経済新聞は次のように報じています。
「中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化」
この報道によれば、2026年度にもM&A仲介業務に資格制(国家または民間による認定)が導入予定で、ファイナンシャルアドバイザーや仲介事業者には財務・法務・税務などの専門知識と倫理順守が義務付けられる見込みです。
これは、中小企業をめぐる仲介トラブルの防止と市場の信頼性向上を目的としており、弁護士の関与がこれまで以上に重要になる時代の幕開けを示しています。
今回はこのM&Aにおける「仲介契約」の重要性について解説いたします。
仲介契約とは何か?
M&Aにおいて仲介契約とは、売主・買主の間に立ち交渉支援を行う第三者(仲介業者)との契約を指します。
多くの場合、売主・買主の双方と契約し、「両手取引」で報酬を得る構造ですが、この形態は利益相反が内在しやすいため、慎重な対応が求められます。
たとえば、片方の当事者の利益が優先される設計になっている可能性にも気づく必要があります。
実際にあったトラブル:買手の利益が優先された事例
地方の製造業A社は、後継者不在によりM&Aを決断し、複数社の候補者から選んで仲介業者を選定しました。
しかし、仲介業者が紹介した買手候補は当初の希望条件を大きく下回る価格提示で、A社は「今がチャンス」との言葉に押されて契約。
後日、仲介業者が買手企業から別途アドバイザリー契約料を受け取っていた事実が発覚し、系列企業への囲い込みが行われていたことが明らかになりました。
A社は弁護士を通じて交渉し、裁判外紛争解決へ。
最終的に、仲介報酬の一部返還と、補填金を受領する形で解決しました。
このケースは、仲介者がどちら側に「立っている」のかを契約前に見抜く必要性を示しています。
成功報酬の定義に注意を
仲介契約において最も注意が必要なのは「成功」の定義です。
例えば、LOI(意向表明)が出ただけで成功とみなす契約も存在し、トラブルの温床になります。
また、取引中止時の違約金条項、契約後も報酬請求が可能な「テール条項」なども、法的リスクの要因となります。
これらを精査し、明確にすることが不可欠です。
弁護士の関与の重要性
契約締結前に弁護士によるリーガルチェックを行うことで、曖昧な文言や不利条項を明らかにできます。
利益相反の可能性を指摘し、経営者が不利益を被らないようリスクヘッジが可能です。
また、交渉段階でも必要なアドバイスを提供し、依頼者が冷静に意思決定できるよう支援します。
M&Aが初めての経営者にとって、法律の専門家としての弁護士が伴走することは、非常に大きな安心材料となります。
制度改正に備えた事前準備を
経済産業省による資格制度導入の動きは、今後のM&A市場に大きな影響を与えるでしょう。
2026年を前に契約書や内部体制を制度に合わせて更新することが求められています。
弁護士は制度改正を見越して契約書の整備、報酬体系の見直し、利益相反ルール・倫理規定の導入などを支援できます。
これにより、経営者や仲介業者の信頼性が高まり、市場での評価も向上します。
仲介契約はM&Aのスタートラインでありながら、最もリスクが潜む部分でもあります。
大切な会社の未来を守るためには、契約前に弁護士とともに精査し、最善の条件でのスタートを切ることが大切です。
今後ますます専門性と透明性が求められるM&A仲介の時代、ぜひ弁護士との連携をご検討ください。
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