「夫や妻が鬱になってしまった」で離婚は可能なのか?水谷弁護士が解説 | 法律コラム | 企業のお客様に特化した弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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REPORT
2025.04.21 | Vol.278

「夫や妻が鬱になってしまった」で離婚は可能なのか?水谷弁護士が解説

5つの離婚原因のうち、2つを徹底解説!

「配偶者の生死が3年以上明らかでない」の定義

「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」とは、配偶者からの音信が途絶えてから3年以上経っていて、生死が確認できない場合をいいます。単に所在が不明な場合には3号にあたらず、生存しているか死亡しているか証明できないことをいいます。

 

実際には、この場合には、相手方に訴状をどうやって送達するかが問題になります。

 

住所がわかっている場合には「郵便に付する送達」、住所すらわからない場合には「公示送達」となります。(公示送達については裁判所のHPを参照)



 

「強度の精神病で回復の見込みがない」場合とは

「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」とは、単なる精神病ではなく「強度の精神病」「回復の見込みがない」という2つの条件を満たした場合をいいます。

 

しかし、「この2点の要件を満たす」と判断する事例はまれ。「強度の精神病」かどうか、「回復の見込みがない」かどうかは、医師の判断を必要とします。

 

典型例は統合失調症ですが、統合失調症とはいっても、服薬によって症状をコントロールできている方、発作などが伴い状態が次第に悪化している方など、さまざまな場合がありますので、一概にこれとはいいがたいです。

 

一方、うつ病、パニック障害など、一見して「強度」で「回復の見込みがない」とまでは言いにくいものについては、このような配偶者を見捨てて離婚を求めることは、逆に同居義務・協力義務・扶助義務に違反するものとして、認められないことにもなりかねません。

 

このような場合には、離婚後の生活支援の見通しをたてるなど、精神病を患っている配偶者の生活をある程度、保証する準備を整えていることを示して、初めて離婚が認められる余地が生まれます。

 

なお、相手方が強度の精神病であり、意思能力すら欠けている場合には、裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してはじめて離婚訴訟を行えることになります。

 

まれなパターンだけあって、専門家の見識が必要に

生死不明や強度の精神病は、法律相談としては比較的まれな事案です。

 

実際このような場合は、財産について「不在者財産管理人」を選任したり、相手方について成年後見人を選任しないと、手続できないことが多くあります。

 

離婚のなかでも難しい事案ではありますが、お悩みの方は一度専門家に相談することをおすすめします。

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